UWA観戦レポート 98・10・18(日) エッピング大会

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イギリスのリングはいつ見ても小さい。日本の物と比べて3分の2の大きさになるだろう。ロープに振ったら、相手がすぐに帰ってきて、間接技を使うと、すぐにロープに逃げられてしまう。

イギリス人にとっては、普通の大きさかもしれないが、我々日本人にとっては、いつも違和感がある。その小さなリング上で、イギリス・プロレス界の復興をかけ、UWAがついに旗揚げした。試合を見る前は、何かしら1つは得るものがあるだろうぐらいに、軽く考えていたが、いざフタを開けてみると、面白いものが、次々と飛び出してきた。

第一試合
パーフェクト・ポール・スローン vs ブリー・ボーイ・ブリッグス

スローンは見るからに典型的なベビーフェイスで、ブリッグスは観客から罵られる北部から来たヒール。残念ながら、試合の方は個性的な物が感じられず、スローンがフィッシャーマンズ・スープレックスでブリッグスを仕留めた。

第二試合
フィル・パワーズ vs ジ・アナーキスト

パワーズがリングでインタビューを受けている最中に、アナーキストが乱入し、ダートバイク・キッドへの挑戦権は自分にあることを主張し、この試合が急遽組まれることになった。

パワーズはさすがに動きが素晴らしい。アナーキストも同様で、スイングDDTやムーンサルトを繰り出し、パワーズを追いつめていく。試合の流れは非常にスムーズで、観客を取り込んでいく。最後は、アナーキストのマネージャのパウダー攻撃がアナーキストにかけられ、パワーズがピン。もう少し見てみたかった。

第三試合
ジェイソン・クロス vs タイガー・マクギガン

クロスはユニオン・ジャックのコスチュームで、マクギガンはリック・ルードにそっくりだ。クロスがジャックハマーでマクギガンを破る。

第四試合
ポール・ティロル、スティーブ・モロッコ vs 「ザ・デス・スクワッド」マッド・マーク・ライオン、アイアン・デューク

デス・スクワッドは大型チームで、相手チームの攻撃を軽く受け流す。モロッコ、ティロルも健闘するが、デス・スクワッドが圧殺。

第五試合
エキシビジョン・マッチ(3本勝負)
スティーブ・グレイ vs ジョニー・キッド

2人はイギリス・マット界の往年のレスラー。渋いグラウンドの転回を繰り広げる。日本人ファンにとっては、新鮮に映るもので、首投げ、巻き投げ、固めてきたら返し技と大技は全く出てこない。

そういえば、初代タイガーマスクが活躍していた頃、スティーブ・ライト、マーティ・ジョーンズ、ピート・ロバーツなどと戦い、このような試合展開をしていた。初代タイガーがいなくなってから、こういうプロレスをしばらく見ていなかった。

1本目はキッド、2本目はグレイが取り、2本目は両者ダブルフォールとなり、試合は引き分けに終わった。古き良きブリティッシュ・スタイル。

第六試合
ウェラ vs 「ザ・ライオン・キング」ビッグ・パパT

両者とも何がやりたいのかわからない試合だった。ノーコンテスト。

第7試合
EWAヨーロッパ・ジュニア・ヘビー級選手権
ザ・ダートバイク・キッド(王者) vs フィル・パワーズ(挑戦者)
この試合のルールはエニウェア・フォールズ・カウントマッチで行われた。つまり、どこでもフォールして3カウントが入ったら、勝ちなのだ。
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このルールから自ずとFMWやECWのような試合展開が予想される。実際に、試合はハチャメチャなものになった。トペやプランチャなどの空中戦に加えて、傘や椅子を利用した攻撃が至る所で行われる。特に、場外にはマットが一切、敷いてない。そこでブレーン・バスターなどの攻撃をされると、非常に痛々しい。

意地の張り合いなのか、一進一退の攻防でお互いに譲らない。ダートバイクは冷たい表情で、みちのくドライバーなどのデンジャラスな技を掛けるが、パワーズは必死にダートバイクに攻撃を返していく。いい試合だ。最後は、ダートバイクがスプラッシュ・マウンテンでパワーズを破り、王座を防衛した。

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UWAの旗上げは成功だったと言えるのではないか。ダートバイク・キッドとフィル・パワーズは実力的に充分なものを持っていて、あとはプロモーションで世間にどのくらい売り込むかによって、イギリスのプロレス界を引っ張っていけるかが決まってくるだろう。
残念だった点が2点ある。一つは、ダートバイクが椅子を利用した攻撃を試みたときに、セキュリティがそれを2度に渡って、動かしてしまったことだ。これにより、選手の気持ちが下降してしまったのが明らかで、試合の流れも遮られた。もう一つ、ファンが物を投げ過ぎる。

特に子供が多いのだが、マイクによる注意も必要なのではないか。また、親も一緒に来ているはずなので、子供をリングの近くに寄せ付けないようにするべきだ。そして、ファンはレスラーに対して、尊敬の念を持つべきだと思う。

これが欧米型のプロレスだ、と言われたらそれまでだが…。