FWA High School Hell 10/Nov/2001 場所:Harrow High School

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FWAを見るのは、99年2月の旗揚げ戦以来なので、約2年9ヶ月ぶりとなる。正直な話、私はFWAがここまで長続きするとは思っていなかった。FWAは元々、イギリス南部の港街ポーツマスを拠点にし、ロンドンを飛び越えて、まずは中部のミッドランド、次にアメリカやヨーロッパに進出、最近になりロンドンで興行を行うようになった。団体のエースとしては、ダグ・ウィリアムスとアレックス・シェーンの重量級選手、ジョニー・ストームとジョディ・フラッシュの軽量級選手が置かれ、最近になり、80年代に活躍していたロビー・ブルックサイドやドゥルー・マクドナルドも顔を出すようになった。

現在のFWAのテーマは21世紀を担う新エース達と80年代に活躍したレスラー達による世代闘争である。名づけて、「オールド・スクールvsニュー・スクール」。場所は、それをモジってか、「Harrow高校」。「High School Hell」がいざ開戦。

まずはリング上に女子レスラーのニキタが登場。なかなかの美女で、スタイルも抜群。FWAがニキタとの契約を結ぶという事で、観衆の前で契約書にサインをしてもらう。その時、ディノ・スカルノとドゥルー・マクドナルドが登場。2人とも古き良き悪役イギリス人レスラーの雰囲気をプンプンと醸し出している。ディノがマイクを持ち、「ここのリングは女子がレスリングをする所じゃねーぞ!」とニキタを一喝。すると、マクドナルドが椅子でニキタを一撃。おいおい、ごっつい体のおっさんが、かわいい女子選手を椅子でKOしちゃいけないよ。観衆は一斉に、悪いおっさん達にブーイングだ。そして、花道からFWAエースのアレックス・シェーンが登場。2人は今晩メイン・イベントで対戦する事になっている。両者、今にも殴り合いに発展しそうな雰囲気に・・・。

第一試合
ヘイド・ヴァンソンvsジョードン
FWAロンドン・アカデミー・マッチと題されたこの試合。2人ともキャリアの浅い若手だ。新人にしては、面白い試合をする。技の取り方、一つ一つのバンプが極めて正確である。もっと体を大きくしていけば、将来非常に有望な選手である。特にヴァンソンは、時折カンフー的なパンチやキックを見せ、なかなか多才な面も見せ付けた。ただ、対角線上にいる相手に対して、タックルやエルボーバットに行く前に、前転を入れるのが、「意味ないよ」という感じがしないでもないが、アクロバット的な動きは特に子供ウケするので、若いうちはいろいろなムーブを試してみて、観客のニーズを正確に捉えていくのも必要な事かもしれない。

第二試合
ブランドン・トーマス、イアン・ダ・シルバvsジョージ・カスターノ、アレックス・カスターノ
「ラ・ファミリア」というコンビ名のカスターノ兄弟。あまり似てないので、本当の兄弟かどうかは不明。2人とも、コロンビア人というギミックで、観客からは「イミグレーション(移民)」と連呼される。ラ・ファミリアはヒールで体が小さいが、華麗な空中殺法で観客を魅了する。対するベビーのブランドン・トーマスはイエス・キリストにそっくり。観客からは「ジーザス・クライスト」コールだ。FWAには固定ファンがいるので、彼らの存在もまた、今回のプロレスを楽しむにあたって、必要不可欠だった。シルバはB級レスラーの匂いを存分に醸し出している。存在感のなさでは、今大会ピカイチだった。試合途中で、ジョージ・カスターノが場外に放り出されて、左足を場外フェンスに痛打する、というアクシデントが起きた。その後で、動きが鈍くなり、パートナーのアレックスがトーマスにピンフォール負け。しかし、プロ意識に溢れるジョージは足をひきずりながらも、マイク・パフォーマンス。観客とのヒートを持続させた。

第三試合
ミスター・ブロンドvsジャック・ハビエル
ハビエルはグランジ系の格好をしたレスラー、繰り出す技には印象に残るものはない。相手のミスター・ブロンドは筋骨隆々としている。ボディビルのバックグラウンドがあるのだろうか。ダイナマイト・キッドのようなトゲトゲとした表情もファイターとして非常によい。ただプロレスの技で、これといって説得力のあるものは記憶に残らなかったが、存在感のあるレスラーだった。最後はハビエルを右のグーパンチでKO。

第四試合
「ソリッド・ゴールド」スコット・パーカー vsジャスティン・リチャード
リチャードはFWAのブリティッシュ王者にもなった事がある、安定した選手。対するパーカーは人気のある選手だったが、線の細さが気になる。いわゆる、体が素人的な選手。両者ベビーで、試合はクリーンなファイトに終始する。

第五試合
マーク・スローンvsジョニー・ストーム
FWAの現場監督、スローン登場。2年半ぶりに見たが、相変わらず体は細いまま。大体、試合には勝つんだけど、パワーがなく、巧さもないため、レスラーとしては依然クエスチョン・マークだ。対するストームも体は小さいが、動きはいいし、観客をノセる技量はピカイチだ。2年半前はスローンがベビー、ストームがヒールだったが、現在は逆転。現在の状況の方が面白い事を実感した。スローンは子供から「モンキー」というニックネームを付けられていた。最後はスローンのセコンドのジェームス・タイがストームの足を場外から押さえつけ、カウントスリー。

第六試合
FWAブリティッシュ・ヘビー級選手権
ダグ・ウィリアムス vsウルフ・ハーマン
先日のAPWマットで行われた「キング・オブ・インディ・トーナメント」で高い評価を得たウィリアムスがイギリス・マットに帰ってきた。ウィリアムスの人気も上昇中。対するハーマンはドイツ人でハノーバー・トーナメントの常連レスラー。ECWマットにも上がった事もある大型選手である。2人とも巧いし、パワー満点。

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ハーマンが場外フェンスをリング上に投げ入れ、その上にウィリアムスを叩き付ける。ウィリアムス、悶絶の表情。痛みの伝わるプロレスだ。そして、両者の技の一つ一つが重いため、リングが激しく揺れる。実際、この後リングが壊れた事が明らかになり、大会終了時間が大幅に遅れる事になる。最後はウィリアムスの飛びつきスイングDDTでタイトルを防衛する。100点満点の試合。試合後、ライバルであるドリュー・マクドナルドが登場。ウィリアムスの健闘を称え、握手を求める。ウィリアムスもこれに応じるが、どうも胡散臭い。

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そして、TWAブリティッシュ・ヘビー王者兼、ヨーロッパ連盟ヨーロッパ・ヘビー王者のロビー・ブルックサイドをリングに招き入れる。マクドナルドと共に現われたディノ・スカルノが、「ブリティッシュ・チャンピォンは2人もいらないんだ!」と言い、ウィリアムスの保持するベルトをブルックサイドに渡すように命令する。拒んだウィリアムスは3人に袋叩きにあい、ブルックサイドがベルトを強奪してしまった。
第七試合
3ウェイ・マッチ
アッシュvsカーヴvsクルーズ
ニュー・ブリードというチームを結成している3人が闘うこの試合。負けた者がどうやら、チームを去らなければならないみたいだ。3人とも見た目よく似ているので、誰が誰だかよくわからない。最後はアッシュとカーブが共闘し、なんとセカンド・ロープからのツームストン・ドライバーで、クルーズを葬り去る。

第八試合
ディノ・スカルノvsジョディ・フラッシュ
ベテランのスカルノが巧さで、若いジョディを翻弄。2年半ぶりに見るジョディは、その間日本遠征などを経験しているので、逞しく見えた。コスチュームも金色ベースになり、これがなかなか似合っている。動きそのものは、相変わらず天才的。イギリスの武藤敬司、と言ったら言い過ぎだろうか?これからが楽しみな選手である。最後はジョディが場外にいるスカルノに向かってスワンダイブの攻撃を仕掛けようとすると、足をロープから滑らし、足がロープに絡んでしまい、宙づり状態に。すると、ドリュー・マクドナルドがのしのしとゲートから登場。ジョディの足に椅子を当てた時点で反則裁定。

第九試合
ジェームス・サイvsスコッティ・ロック
サイのセコンドのマーク「モンキー」スローンがうるさい存在だ。あまり印象に残らない試合で、ロックが勝った。

第十試合
ドリュー・マクドナルドvsアレックス・シェーン
大型選手同士の闘いで、見ごたえあった。会場全体が戦場となり、アレックス・シェーンは5メートル頭上からのダイブを敢行。190cmぐらいの身長を持つシェーンの捨て身攻撃は迫力そのもの。

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最後はシェーンのボディガードのミスター・ブロンドが、シェーンに反旗を翻し、マクドナルド軍と共闘。シェーンはリング上でリンチされ、試合は無効試合に。マクドナルドはシェーンを放火するために、シェーンに灯油をぶちまける。すると、ゲートからニュー・スクールが登場。旧世代軍と新世代軍がリング上で入り乱れ、ハチャメチャ状態に陥る。

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私が住んでいる場所は、会場から歩いて10分の所、観戦理由は「近いから」であった。しかし、私はFWAを甘く見ていた。ほとんどのレスラーのスキルは明らかに向上していて、ライブ感覚で言えば、アメリカの某団体よりは、よっぽど面白い。以前は、新世代のエースが固定で据え置かれていて、行き詰まりの感があったのだが、カンフル剤となっているのは、旧世代のロビー・ブルックサイド、ドゥルー・マクドナルド、ウルフ・ハーマンの存在で、やっぱりプロレスには抗争という構図は必至なんだな、と実感した。これに、ブルックサイドの元パートナーである、ウィリアム・リーガルが戻ってきてくれれば、最高なんだけどな~。とにかく、FWAは面白い。これからは、ちょっと場所が遠くても、観戦に行きたい、と思う。

次回の興行は12月14日、ロンドンのアクトンにて行われる。そこでは、真のブリティッシュ王者を決めるべく、ダグ・ウィリアムスとロビー・ブルックサイドの一騎打ちが決定。今年はこの大一番で締めくくるようだ。

LWF UK O総理