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  観戦記

All Star Promotions - Big time American Wrestling
Date : 13/Nov/01
Place : Beck Theatre - Hayes

11月10日のFWA大会から僅か3日の間隔を置いてのオールスター・レスリングの観戦。

3日前に出たアドレナリンは未だに持続中。それに加えて、更なる刺激を私に与えていたのが、イギリス修行中の真壁伸也(新日本プロレス)が間近で見れる事である。

昨年の同時期には、大谷晋二郎(現ZERO−ONE)がイギリスで修行していて、当然LWFとしても試合観戦、レポートの作成を行う事になっていた。しかし、我々の会場入りが遅くなってしまい、大谷の試合を見逃してしまった。

「イギリス唯一のプロレス同好会」を自負するLWFにとっては非常に残念無念の出来事であり、私自身のプロレス熱もしばらく下降した。

ところが、今年も新日本は今にも殻を破りつつある真壁をオールスターに送り込んできた。真壁と言えば、今年の3月には、長州力と組んで、天山・小島の持つIWGPタッグのベルトに挑戦したり、6月のベスト・オブ・スーパー・ジュニアでは確かAKIRAからピンを取るような活躍をした、と記憶している。

そんな上り調子の選手の海外修行過程を見れるのは、海外生活をしているプロレス・ファンにとっては、数少ない喜びの一つである。

普段、我々が日本のプロレス界の動向をキャッチするには、インターネット上をひたすら駆け巡るのが、最良手段だが、深みのある情報をゲットするのは不可能。

日本語の書籍を販売する店でも、少し遅れてプロレス週刊誌を手にする事ができるのだが、値段は日本で買う価格の約三倍。

買うのは、なんだか馬鹿馬鹿しい、立ち読みしに、車でひとっ走りする気力、体力もない。そんなこんなで、日本在住のプロレス・ファンとどうしても同期がとりにくい訳で、LWFのホームページ上で日本のプロレスの色を前面に出し,情報発信していくのは、非常に不利な要素である。

しかし、日本人レスラーが海外修行をするとなると、その立場も逆転する。海外での実績はなかなか日本には伝わりにくいし、インターネットを駆使しても、GETできる情報は50%も満たないだろう。

そして、実際に日本人選手の試合を海外で見れる日本人ファンはそんなに多くない。海外修行選手の試合を見て、そのレポートをインターネット上で発進できる事は、普段、疎外感を味わう我々が珍しく優越感を味わえる瞬間でもある(にやり笑)。

そして、昨年の大谷レポートをミスした汚名挽回もしなければならない。そんな事を考えつつ、仕事を7時に終え、試合会場に向かったのであった。

会場であるベック・シアターは小さなコンサート・ホールである。舞台上には、小さなリングがポツンと置いてある。

オールスターの会場は相変わらず子供が多いし、おもちゃ売り場は盛況だ。昨年見た時とほとんど同じような感じなので、特に驚きはない。

ただ、そんな親子連れが多い中で、唯一の日本人ビジネスマンの格好をした私がどうしても目立ってしまい、皆にジロジロ見られるのは、未だに恥ずかしい。

第一試合
ナイジェル・マクギネスvs ロビー・ダイナマイト
背が高くスタイルの良いリングアナ、レチティアの進行で第一試合が開始。マクギネスはアメリカでウィリアム・リーガル(WWF)と共にトレーニングを積んだ、と言う。身長が高く、なかなかハンサムで、サウスポーから繰り出すパンチはリーガルを彷彿させる。

対するダイナマイトはこの前まで、ベビーだったのだが、いつの間にかヒールと化していた。特に悪い事はしないのだが、表情が険しい為、観客の大多数を占める子供は恐怖感を覚えるのだろう。ダイナマイトはブーイングを浴びる。リングアナもマイクを持って、マクギネス・コールを起こす。すると、会場全体がマクギネス・コールになる。

オールスターの試合は、リングアナが試合そのものも活性化していくのだ。なんとも子供にわかりやすい仕組みなのである。リングが小さい為、試合はグラウンドに終始するが、最後はマクギネスがコーナーからフライング・ボディ・アタックを仕掛けた所、これをダイナマイトがクルリと切り換えし、カウントスリーが入った。


ダイナマイトの腕を決めるマクギネス


第二試合
ボビー・イーグルvsジョー・レジェンド


左がイーグル、右がレジェンド


真壁、乱入!

ボビー・イーグルはインディアン・レスラー。過去にも、ワフー・マクダニエルやヤングブラッド兄弟なども見てきたが、間近で見るインディアン・レスラーは更に格好が良い。

対するジョー・レジェンドは昨年よくWWFのスマックダウン等に出ていたジャスト・ジョーの新リングネームである。WWFで、これからブレイクするのか?、と思っている時に、いつのまにかWWFを退団してて、インディ団体でよく名前を見かける事になった。

スタイル自体は現在の方があか抜けている。イタリア人プレイボーイのようにルックスがいい。試合はレジェンドのペースで進められ、イーグルのピンチに、会場は「USA」コールとなる。

レジェンドはカナダ出身なので、試合の構図はアメリカ対カナダなのである。声援を受けたイーグルはトマホーク・チョップでレジェンドに反撃する。

10分を過ぎ、レジェンドがピンチになった所で、孫悟空みたいな格好をしたレスラーが乱入。あっ、真壁だ!私は、すかさずカメラのシャッターを切る。ベビーのイーグルを蹴り続ける姿で、観客は「この東洋人は悪い奴だ。」と認識し、真壁にブーイングを浴びせる。

すると、次にタタンカが登場。10年程前に、WWFで活躍したが、今でも練習を続けているのだろう、体はパンプアップされている。

力強いチョップで、真壁とレジェンドを蹴散らす。乱闘は場外の奥まで及び、レジェンドとイーグル、真壁とタタンカは会場の最上段の辺りまで行ってしまった。結局、第三試合はこの四人のタッグマッチに変更される。


第三試合
タタンカ、ボビー・イーグル vsジョー・レジェンド、フジ・マカベ
メインに持ってきても、おかしくないタッグマッチ。試合が始まると、マカベが孫悟空みたいな衣装を脱ぐ。

報道通り、日本にいた時よりも確かに体が大きくなっている。

9月にカルガリーでジョー大剛氏の元、激しいトレーニングを積んだ成果なのであろう。試合はほとんどレジェンドとイーグルが出ずっぱりで、マカベはなかなか出てこない。

会場が「USA」コールを起こすと、セコンドにいるマカベは「SHUTUP」と言い、耳を押さえるパフォーマンス。セコンドから、ずるい事をし、レフェリーから注意されると、「NO、NO!」とシラを切る。更にずるい事をし、それがレフェリーにまともに見つかると、イエローカードを出される。マカベ、頭を抱えるパフォーマンス。

完全にアメプロ・スタイルに染まっていて、その姿が非常に面白かった。パフォーマンス自体は、天山に非常に似ているものがあった。レジェンドからタッチを受けて、マカベが遂に登場。キックやアーム・ホイップ、腕決めなどで、イーグルを翻弄。トップロープからフライング・ボディプレスも敢行。これは残念ながら、カウントスリーには至らない。決まらないと見るや、マカベは珍しくチョーク攻撃を仕掛ける。

レフェリーの反則カウントが入る。会場はブーイングの嵐だ。また、レフェリーのブラインドをついて、2人がかりの攻撃を加えると、レフェリーは助けに入ろうとするタタンカを阻止する、お約束の場面も何回も見られる。

リングアナは「CHEAT」(ずるい、いんちき、反則等の意味)を連呼し、観客をあおる。この試合も、リングの小ささにより、ロープワークはあまり見られない。そして、マカベは日本の時みたいに、ジャーマンを出したり、関節技を出したりはしない。剛に入れば剛に従え。

観客は子供である。彼らに嫌われて、憎まれて、存在感を示せば、レスラーとして勝ちである。その点では、マカベは強烈な印象を残した、と思う。結局20分を超える試合となり、イーグルがコーナーからのフライング・ボディプレスでマカベから、カウントスリーを奪った。

マカベはレジェンドに付き添われ、無念の表情だった。



観客の怒りを買う真壁とレジェンド

見栄を切る真壁

タタンカのチョップが真壁に炸裂

イーグルの腕を決める真壁

真壁、インディアンコンビに敗れる

ベルトを掲げるインディアンコンビ


タタンカ公式サイト
http://www.nativetatanka.com/

第四試合
ダグ・ウィリアムス vsチック・クラン

休憩後、第四試合が始まる。スコットランド出身のクランが入場。風貌はフィット・フィンレーに似ている。いかにも技職人という雰囲気を醸し出している。スコットランドから来た、という事だけで、観衆はブーイングだ。なんともシビアな国だ、イギリスって。

次に対戦相手として、ダグ・ウィリアムスがコールされる。LWFの観戦記でも何度も登場しているイギリスマット界のナンバーワン・レスラーだ。イングランド出身ということで、人気者である。入場する時から、善悪が決まってしまうので、オールスターは本当に分かりやすい。

この試合、本日の掘り出し物であった。特に、クランの上手さ。日本への来日経験があるかどうかは定かではないが、どこの団体に行っても、その存在感を示す事ができるだろう。

みちのくプロレスに行ったら、間違いなくチャンピォンになれるだろう。そのクラン、所謂ひとつの典型的なイギリス出身レスラー。グラウンドが上手く、時々鼻へのエルボーなどシビアな攻撃も見せる。

実力者、ウィリアムスもさすがに翻弄される。クランは場外戦でも、めっぽう強い。この試合の前に、私の写真撮影が禁止された為に、クランの姿をカメラで捕らえる事が出来なかったのが、非常に残念である。

最後は、よくベイダーが見せるセカンドロープからのボディ・プレスで、ウィリアムスがクランを破った。両者、日本へのお披露目を強く希望する。

ダグ・ウィリアムス公式サイト
http://www.doug-williams.co.uk/

第五試合
テーブル・マッチ
ドリーム・チーム vsチャド・マレンコ、ダンディ・ロジャース

この試合は先に相手をテーブルに叩き付けた方が勝ちとなる。先にアメリカ・カナダ混合コンビのマレンコ、ロジャース組が入場。マレンコは日本でもチャド・コリアーとして、お馴染みの選手。

マレンコ兄弟と縁がある事を強調する為、イギリスではチャド・マレンコを名乗る。ダンディ・ロジャースはショーマン派レスラー、カナダ出身である。

次に入場したドリーム・チーム(キッド・クールとディーン・エクストリーム)はアイドル系の10代の選手。本当に年齢が10代かどうかは定かではないが、体はやはり素人っぽい。最後の試合にして、このようなずっこけを用意しておく所が、イギリス老舗団体の隠し玉なのだろうか。しかし、そんなドリーム・チームに子供達は熱狂し、会場全体が「イングランド」コールだ。

私のような口うるさいプロレス・ファンが何と言おうと、オールスター・レスリングは、いかに大半を占める子供達を熱狂させるかに、重点を置いている。それを考えると、ドリーム・チームをメインに持ってくるのは、正しい選択なのかもしれない。

試合内容は、外国人コンビのペースで進むが、ちょっとダラけた感もあり、睡魔が随時襲ってきた。最後はドリーム・チームがロジャースをパワーボムで、机の上に叩き付け、勝利。机が奇麗に割れ、ハッピーエンディング。観客も満足したようである。

基本的にオールスターに出場する選手は、メインのドリーム・チームを除いて、体がデキている選手が多い。そして、WWFで過去に活躍したレスラーも見る事ができ、当日は見れなかったが、ジェイク・ロバーツやジョン・テンタも現在オールスター・レスリングにスポット参戦したりしている。

子供の観客相手にパフォーマンス中心のプロレスをするよりも、もっと年長向けにシリアスな動きを交えれば、もっとプロレスの興行として、幅が広がると思うのだが・・。イギリスの老舗団体であるオールスターが子供相手の「ウルトラマン・ショー」みたいになっているのが、非常にもったいない。

最後に真壁選手。一部のジャーナリストには辛口批評も受けていますが、それに負けずに自らのスタイルを確立して欲しいものです。

次の遠征先がプエルトリコかどうかはわからないが、世界各地の良い部分を吸収して、日本に帰ったら凱旋帰国試合で多くの日本人ファンをアッと驚かせることを期待してます。

LWF UK O総理


 
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