観戦記 |
FWA
27/Feb/1999
ポーツマス。ロンドンから南西150kmの所にある港町。この町はフランスやスペインのような外敵からイギリスを守ってきた。今でも見ることの出来る大砲、城跡や堀などがイギリスの歴史の重みを感じさせる。その町で新団体FWAが旗上げ興行を行った。
去年の10月にUWAが旗上げし、これが成功だったので、我々のブリティッシュ・レスリングに対する期待も自然と高まっていた。しかし、不安だったのが、FWAに対して全く予備知識がないこと。誰がトップ・レスラーなのかさっぱりわからなし、注目のレスラーもわからない。そして、会場に着くと、あまりの小ささに不安感がさらに増していった。こんな所でプロレスができるのだろうか?とにかく、この日FWAのチャンピォンがトーナメント勝ち抜き戦で決まる。
第一試合(Aブロック)
マーク・スローン vs アーロン・ミッチェル
スローンはポーツマスを中心に活躍していて、人気はナンバーワン。ブレーンバスターやDDTを繰り出し、ミッチェルを追い詰める。最後はスィート・チン・ミュージックでスローンの勝ち。
第二試合(Aブロック)
ギャリー・ヘイワード vs ポール・スリー
ヘイワードはなかなかの試合巧者。チョークスラムやサイドバスターでスリーから勝利を飾る。
第三試合(Bブロック)
ジョニー・ストーム vs ジョージ・カスティーノ
ストームはマイク・アピールの達人。観客の怒りを誘うことで、ヒールに徹している。しかし、ブーイングが強すぎて、ストームは試合に集中できない。またマイクを掴み、「黙れ!そうしないと、試合をしないぞ。」と控室に引き上げようとする。これが2回続くが、観客は全くシラけない。
ストームがカスティーノを椅子でコツンと叩くと、そのまま3カウントのピンフォール。カスティーノはストームのマネージャーから金をもらっていて、わざと負けたのだった。この結末にはさすがにシラけたが、ストームのスター性を感じることが出来た。
第四試合(Bブロック)
フィニックス・ジョディ・フラッシュ vs スコッティ・ロック
ロックはコンヒーロやスパインバスターを使い、フィニックスを攻め込むが、動きのいいフィニックスはキャプチュードを有効に使い、ロックの好きなようには攻めさせない。しかし、ロックは雪崩式フランケン・シュタイナーでフィニックスを追い詰める。フィニックスも負けずに場外のロックめがけてスペース・フライング・タイガー・ドロップを繰り出した。場外にはロックの女性マネージャーがいて、しばしばチョッカイを出す。しかし、凶器攻撃は全てロックに誤爆。ミスを見逃さないフィニックスはシューティング・スタープレスでロックをピン。未来のスーパースター、フィニックスの誕生の瞬間だった。
第五試合(Cブロック)
エニグマ vs ガンガンタン
椅子攻撃でエニグマの勝利。つまらない試合でコメントの価値なし。
第六試合(Cブロック)
ポール・グローリー vs ジョン・ストライカー
これはECWスタイルの戦い。ストライカーは椅子の上にグローリーをパワーボムで叩き付ける。非常に痛々しい。トップロープからボディアタックを試みると、椅子で迎撃される。さらに場外戦でストライカーは額に裂傷を負う。血がしたたり落ちるのを構うことなく、グローリーの攻撃は激しさを増す。グローリーの勝利。
第七試合(クラシック・マッチ)
ジョニー・スパークス vs デイブ・ハインズ二人とも50才を過ぎているのだろうか、かなりのベテラン選手である。スパークスはレフェリーの体をハインズに絡ませ、関節技を決めていく。大技は全くといっていいほど出ずに、最後はスパークスがピン。両者、年を取りすぎ。
第八試合(エキシビジョン・マッチ)
エクスカリバー vs ハーレクイン・ケビン・オニール
オニールへのブーイングは強い。マネージャーのゾンビもしばしばエクスカリバーをいたぶる。エクスカリバーが裏DDTで勝利。
第九試合(Aブロック)
マーク・スローン vs ギャリー・ヘイワード
両選手共、多くの技を披露する。スローンのボディプレス、スピンキックやライガーボムが有効技となり、最後はスィート・チン・ミュージックでヘイワードから3カウントを奪う。
第十試合(Bブロック)
フィニックス vs ジョニー・ストーム
この日一番レベルの高かった試合。両者の巧さが見事に噛み合った。空中戦がメインとなるが、驚いたのがフィニックスの場外5メートル・ダイブ。人間はこんなに飛べるものなのか、と思った。ストームも負けずにムーンサルトや雪崩式フランケンを繰り出すが、フィニックスのシューティング・スタープレスに沈む。フィニックスへの大歓声がものすごかった。
第十一試合(Cブロック)
ポール・グローリー vs エニグマ
最悪の試合。グローリーの勝ち。
ロイヤル・ランブル
20人の選手の中で優勝した者がFWA選手権の挑戦権を得ることが出来る。一分毎に選手がリングに上がり、トップロープを超えて、場外に落とされた者は失格となる。私はロイヤル・ランブルに何も期待せずに、とりあえず見ておこう、という感じでいた。しかし、"事件"は起こった。
二人の選手がキレてしまったのだ。失格になっているにもかかわらず、リング上に度々上がり、セメント・マッチを繰り広げる。キレた一人の選手は額を切り、あばらを押さえながらも、まだ戦おうとする。何度も場外に落とされながらも、リングに上がり、他の選手の怒りを誘う。結局、収拾がつかなくなり、没収試合となった。
FWAの選手達はステージ上で何らかの話をしている。キレた二人の選手は隔離されている。観客は何が起こっているのかよくわからない。10分ぐらい経って、リング・アナウンサーから状況の説明がされ、これ以上の試合はできない、と言う。二人の選手の"裏切り"により、選手、関係者のショックは相当なものだったのだろう。
この事件の原因はこんな感じである。ロイヤル・ランブル中に一人の女性が場外フェンスの側で身を乗り出して、誰かを応援していた。場外フェンスにレスラーが飛ばされると、彼の踵が女性の顔面を直撃してしまった。彼女は私の斜め前辺りで倒れてしまって、キワめて危険な状態に陥ってしまった。その後、病院に連れて行かれたのか、彼女の姿は見なくなった。側にいた観客の会話を聞いていると、彼女はキレたレスラーの姉であるらしい。すぐに知り合いが伝えたのだろう、彼のファイトは明らかに変わっていた。キレてしまう理由もわからなくもないが、プロとしてクリーンに仕事をこなすべきであった。キレた2人はFWAのテリトリー外の選手でFWAとの絆も強くないらしい。FWA旗上げ戦を軽く考えていたのかもしれない。今後、彼らはどこへ行ってしまうのだろうか?
今回の大会を総括してみる。画期的なアイディアは動く実況である。ウォークマンみたいなものを持って、リングサイドを歩き回りながら、実況をするのである。時々ファンの意見などを録音したりしていたので、どんなものなのかビデオを見るのが楽しみだ。
しかし、改善点もいくつかある。まず見た目でレスラーとは思えない選手がいる。体がデキていないのだ。体が細く、今にも骨が折れるのではないか、と思ってしまう。まず頑丈そうな体を作ることがプロレスの基本である。
試合内容で個人的に嫌いなのが、ラリアットの乱用。何でもかんでもラリアットという選手がいて、それがまた威力がない。迫力があってこそラリアットなのである。それと、反則攻撃を見ていてカウントをとらないレフェリー。彼は何のために存在しているのだろうか?
一番見苦しいのがリングサイドに陣取る子供たちの存在。物は投げる、選手の顔にツバを吐く、とやりたい放題。18才未満入場禁止とは言わないが、リングサイドに彼らを座らせるのは良くない。
次回興行はいつになるのか今の時点ではわからないが、上記に書いてあるようなことが改善されることを期待する。
LWF UK O総理
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